日本語教育に携わる人物の解説 (目指せ独学合格)

日本語教育に直接関わる、または間接的に関わる方たちを簡単に紹介しています。

あ行

伊沢修二

日清戦争に勝利した日本は,1895 年台湾の総督府学務部長として赴任した。7 月には台北郊外の芝山巌学堂において,地元の子弟対象の日本語教育が開始された。教員養成を重視。募集した人に喜一郎あり。ロドリゲスの「教師が主体的に学習」を始めたのに対し、彼は「Sが主体的に学習」を始めた。日本語の簡略化でも知られ、おとうさん→おとーさん、と「とお」か「とう」か紛らわしいので全て長音にしようとした。「おねーさん」なども

ウィルキンズ(欧州各国の代表)(とハイムズ)

コミュニカティブアプローチを提唱。母体は元々EU(ヨーロッパ共同体)が米と露に対抗するべく早く協力するため作られた教授法だが、固有の具体的な教授法はとくにない

オーディオリンガル
 FOFs Focus On Forms 文型
 ↓                
コミュニカティブ
 FOM Focus On Meaning 意味
 ↓  
現在
 FOF  Focus On Form 文型

ヴィゴツキーレフ・セミョノヴィチ・ヴィゴツキー

学習は学習者個人の中だけの問題ではないということ。具体的に何をすればいいと言っているのか、それは新しい知識をただ受け身的に待ち構える学習者に与えるのではなく、能動的に自ら新しい知識を獲得しようとする学習者を援助することである。
しかし、これは学習者によって学習スタイルが違うので、正しいともいえるし、そうでないともいえる理論である。ヴィゴツキーは他にも内言・外言も提唱した
・内言・・・とは音声を使わない自身のための内的言語であり,主として思考の道具としての機能を果たす。
それに対し,外言とは他者に向かって用いられる音声言語であり,伝達の道具としての機能を果たす。ヴィゴツキーによれば,子どもがはじめに用いるのは外言だけであるが,発達とともにそれが外言と内言に分化していく。その移行期に出現するのが音声をともなう内言としての自己中心語である。
◆書籍:ヴィゴツキー入門
◆覚方:子供にツキっきりーのヴィゴツキー

上田万年(うえだかずとし)

色々な功績を残している人。絶対覚えるべし!
・標準語:理想・人為的・厳しい規範・その言語の価値を高めるもの。
・1889年明治28年『帝国文学』に「標準語に就きて」で標準語の必要性を述べる
 標準語に就きて:東京の中流社会の口語を基にした「標準語」に関する論文。
・1895年『口語法』『口語法別記』をまとめた国語調査委員会の当時の主事
・1898年「P音考」も論じている
 P音考:ハ行子音が p→f→h と変化したことを論じたもの

※消滅した[p]は中世に従音、拗音の後ろ、オノマトペとして再発生→現在に至る
◆書籍:国語のため
◆覚方:標準語にP音考、上田の研究は万年に及んだ

岡倉由三郎

朝鮮における正式な日本語教育の担い手。1891年官立日語学堂の初代教師「新英和大辞典」

大出正篤(おおいでまさひろ)

対訳法である成人向けの速成式を唱え、戦前に満州国や中国占領地で日本語を教授。満州国における日本語教育は、台湾や朝鮮の国語教育とは異なっていた。年少者を対象とした学校での日本語教育はそれほど普及せず、社会人対象の検定試験合格を目指した日本語教育の方が盛んであった。そこで彼は速成式教授法を主張した。中国語による対訳と注釈を付した総ルビの教科書を用意し、本文の意味と読みについては自宅で対訳法により予習をさせ、授業では専ら口頭発表と会話練習を行う学習法を行う学習法を考案。この教授法については、大出と当時台湾・朝鮮を経て満州国に移ってきた山口の間に論争がおきた。

オースティンジョン・ラングショー・オースティン

イギリスの哲学者、日常言語学派の主要人物の一人。発話とは3つの行為をやっている、と定義。
・発話行為・・・話すこと
・発話内行為・・・話す事によって行われる依頼、謝罪などの行為
 「ごめん。ドア開けて」という発話行為には、<話す事>と<依頼する事>の2つの動作が含まれる。「明日必ず返す」も同様で、<話す事>と<約束する事>が含まれる
・発話媒介行為・・・発話によって結果的に生じる効果。
◆書籍: 言語と行為

か行

嘉納治五郎(かのうじごろう)

清国留学生を受け入れ、弘(宏)文学院を創設

キャロル

心理学者。認知論学習法(⇔GDM)を編み出す。言語理論の基盤を生成文法理論(チョムスキーが体系化)に置く。

グアン

グアン式教授法(シリーズ・メソッド/連続法)を作る。言語教授法の父

グライスグライスポール・グライス(Herbert Paul Grice)

1913年 – 1988年
イギリス出身の哲学者・言語学者
間接発話行為には協調の原理(会話の格率)があると提案。4つに分けた↓。この4つの公理に違反していないはずだという前提の下に相手の発話を推論すると、整合性のある解釈ができる。これにより語用論研究の基礎を固めたわけで、その功績は非常に大きいといえる。
下の公理は全て「~の格率」とも呼ばれる
・量の公理・・・必要とされている量の情報を与え、必要以上の情報を与えない事
・質の公理・・・相手が確信していない事は言わないと信じている事
・関係の公理・・・関係の無い事は言わない
・様式の公理・・・相手が曖昧な表現はしない、順序だてて話している、と信じている事
◆書籍:論理と会話
◆覚方:子供にツキっきりーのヴィゴツキー

クラッシェン

のモニターモデルは,第二言語習得における課題について,「学習/習得仮説」「モニター仮説」「インプット仮説」「自然習得順序仮説」「情意フィルター仮説」といった仮説により解を見出そうとした,その総称というべきものである。

ゴンザ

ロシアに漂流した日本人。もう一人、デンベイという者もいた。
当時の露は南下政策を進めており、漂着した二人を日本に返さず、日本語を学ぶための教師として養った。デンベイはインフォーマント止まりだったが、ゴンザは漂着した当時11才で、露に露語を学ばせられて、日本語教師としての役を担い、素晴らしい業績を残した。

コーダー

1967年に「学習者の誤りの重要性」という論文を発表し,学習者の誤りが母語の干渉だとする対照分析には根拠がないとした。この論文をきっかけに学習者の誤用分析が本格的に行われるようになった。この誤用分析が進むにつれ,学習者はその言語の習得過程で独自の文法を構築しているのではないかと考えられるようになり,セリンカーはその独自の文法を中間言語と名付けた。

さ行

サールジョン・R.サール

発話行為を、直接発話行為と間接発話行為に分けた
・間接発話行為・・・静かにしてほしいときに「静かにならないかなぁ」と発話するなど,ある文型から予想されるものとは異なる発話行為を間接発話行為と呼ぶ。
「ペン持ってる?」貸してとは言っていないが、言われた人はペンを貸す
「あなたなんかだいっきらい!」も状況、場面によっては脈ありである。
◆書籍:言語行為―言語哲学への試論

佐久間鼎さくまかなえ

1888年9月7日 – 1970年1月9日

心理学者だが、文法にも関心があった。コソアドについての論を展開。

志賀直哉

日本語を廃止してフランス語を公用語にすべしと説いたこともしばしば批判されている

シーボルトフィリップ・フランツ・フォン・シーボルト

19c半ば。宣医。
植物学者でもあったため、全国を回っていた。スパイだと思われ国外追放。彼の書いた本がオランダのライデン大学日本語科にある。同校はヨーロッパ初のJSL

ジョン万次郎

1827-1898
14歳の時遭難、米人に救われる。
米で英語、測量、造船技術などを学ぶ。後帰国、幕末の日本で通訳・教師として活躍。名前が覚えやすくていい。

スキナー

功績はここでは書ききれないので、箇条書きで一部を紹介する
・オペラント条件付け(行動主義)
 強化 …ある自発的反応の頻度を高める為に行う行為
 強化子…強化の為に与えられる刺激
  強化の種類
   正の強化:強化の刺激を与えると頻度上昇
   負の強化:不快なマイナス条件を取り除くことによって頻度上昇

スキナーの行動分析の教育への応用
 1.スモールステップの原理:到達目標までの学習を、易から難へ1ステップずつ進める。
 2.積極的反応の原理   :単に理解するだけでなく、積極的に問題を解かせ反応させる。
 3.フィードバックの原理 :問題に答えると、即座にその結果を示す。
 4.自己ペースの原理   :個々の学習者にとって、最適のペースで学習を進める。
 5.学習者検証の原理   :最初は学習援助を多くするが、徐々に減らし自立的学習を促す。

セリンカー

1972年に提唱した中間言語(コーダーは「近似体系」と呼ぶ)や化石化、誤用分析などセリンカーは,中間言語をより目標言語へと近づける過程として主に次の5つを挙げた。
 1 言語転移:母語の特徴が目標言語に投影すること。
 2 目標言語規則の過剰般化:目標言語の規則の適応が広過ぎてしまうこと。
 3 訓練の転移:学習者が目標言語にない言語規則を作ること。
   教室での練習や指導の影響により、不自然な習慣などを植え付けてしまうこと。
 4 目標言語学習の方略
 5 コミュニケーション方略
言語間転移とは上記1の過程をいい,言語内転移とは上記2~5のことをいう。母語話者の母語習得過程で出現した誤りは,言語間転移であるはずはなく,言語内転移によるものだと考えられる。

た行

大黒屋光太夫(だいこくや こうだゆう)

初めてロシアを見て帰った来た日本人。犬ぞりで皇帝の下まで行き、日本に帰してもらった。1782年に日本を出国、11年後に帰国したが、当時の日本は鎖国だったため露の現状を他の人に話されては困ると幽閉された。しかし露の現状を知りたい幕府は彼に本をかかせた。ちなみにデンベイは薩摩弁、光太夫は伊勢弁を露で喋っていたので、当時の方言を知る手がかりとなる

チェンバレル

「習うより慣れたらいい」英語学者。
東大で教鞭。日本語学の父。言語学を日本に広める(それ以前は国学と呼ばれていた)。

チョムスキー

「言語習得は普遍的な文法によって進められる(普遍文法)」認知やCLL、S.P.など。上から叩き込まなくても理解すれば良し

東条操(とうじょうみさお)

1954年に方言区画を作り、さらにそれを整理しなおしたのが加藤正信(1977)

な行

長沼直兄(ながぬまなおえ)

オーラルメソッドの影響で改良直接法を作る。1923年に米大使館で教師になる。自身の著書「標準日本語読本」を大使館で教科書として使い、大戦中は米で日本語教科書として使われる。イギリスのパーマーのオーラル・アプローチは、日本国内で彼などが実践

野元菊雄

国立国語研究所所長。06年死去。簡約日本語

は行

パーマー・
英語を教授する為来日、その際オーラル・メソッドを使用

橋本進吉

文節の概念を作った。現代の中学校で教えている学校文法は橋本文法を簡単にしたもの。他にも上代特殊仮名遣いなどを研究
参.松下文法

ヘボン

宣教師。ヘボン式を作った人

ま行

前島密まえじまひそか

江戸時代末期頃から漢字廃止を唱える者が現れ始めた。代表的な人物が前島密で、1866年12月に将軍の徳川慶喜に漢字御廃止之議を献じたという、最初期の漢字廃止論者である。前島は漢字を廃止し、仮名文字のみで日本語の文を書くべきだと主張した。
前島は明治2年、衆議院に「国文教育之儀ニ付建議」を提出、漢字を廃して平仮名を国字にしようとするものであった。
前島は後に日本の郵便事業を立ち上げる。
◆書籍:知られざる前島密
◆覚方:ひそひそ漢字を廃止しようと考えるヒソカ

松下大三郎

松下文法(日本語文法)。1905年、宏文学院教授。
1913年、日華学院を創設し、以来、中国留学生教育に尽くした
参.橋本文法

松本亀次郎

中国人から強い支持。1903年宏文書院で教師に。「改訂・日本語教科書」

松宮弥平

アメリカ人宣教師を対象に1893年、群馬県で教授。「日本語教授法」

森有礼もりありのり

商取引に限って英語を(通商語として)導入すること、日本語をローマ字で表記することを提唱。1872年にこの提唱をホイットニーに打診、ホイットニーは、簡略化した英語に否定的な見解を示した上で、日本語のローマ字化を除いては日本語の廃止に反対した。森は英語の国語化も目指していた。
◆書籍:国家と教育―森有礼と新島襄の比較研究
◆覚方:商売の時は英語もアリじゃない?森有礼

や行

山口喜一郎

1897年台湾で教師を始め、その後朝鮮、中国に招かれ1945年まで教え続けた。グアン式教授法から日本語教授法を編み出す。伊沢の後を受けた山口喜一郎は、漢文による対訳法に限界を感じ、グアン法(直接法)を試みた。
「外国語としての我が国語教授法」

柳田國男(やなぎだ くにお)

方言周圏論『蝸牛考(かぎゅうこう)』

ら行

リーチジェフリー・N.リーチ

丁寧さの原理を提案。相手に親切でなければならない、という前提で会話は行われる。
「先生、この教室寒いです」「そうですか。では教科書50ページを開けてください」
という会話は不自然である。
学習者の不満を満たさないと、と思うから、普通教師は学習者に「寒いです」と言われたら、その発話には冷房を消してください、というメッセージがある事に気付き、そして行動に移す。つまり相手に丁寧でなければならない、という原理が働くのである。
 ‘’can you pass the salt?’’ ‘’yes I can.’’
英語でも同様、この会話は不自然である。
◆書籍:意味論と語用論の現在
◆覚方:相手の心に「届く(reach)」

ロドリゲス

「キリシタン文書」を記す(世界中にあり、各国の発音などがこの文書により知ることが可能)
◆「日本語大文典」:学習者用参考書(1604~1608 年)は,口語日本語を体系的に解説した画期的な文法書 ◆「日本語小文典」:教師用の手引き

・キリシタン資料:外国人の主体的な日本語学習は、16世紀に来日したポルトガル人宣教師に始まる。布教のために日本語を学習し、漢字学習のための『落葉集』や、『日葡辞書』『日本大文典』、ローマ字表記の『平家物語』を著した。

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