【画像】カンニングの犯行方法と試験監督の心構え・注意点

日本語教師を始めて、まずぶち当たる壁が学生のカンニングではないでしょうか。日頃これでイライラしている人も大勢いることでしょう。私も最初は「なぜこの人達は平然とカンニングをするのか」と驚嘆しました。 何度言っても、何度注意しても、カンニングを繰り返します。

見たら減点、または0点などと脅してみてもいいでしょう。実際に減点しないと、こいつ減点減点って言うだけで何もしないぞ!と、むしろカンニングはエスカレートします。

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カンニング方法

以下、留学生のカンニング方法と、教師の対策を簡単に書きます。

  • 教師が聞こえない程度の小さい声で、友達と話す。
    対策:口を見る。
  • 机の中のノートや教科書を見る。
    ➔対策:テスト開始前に机を180度回すか、持ち物を全てかばんに入れさせる。絶対に全員の机の中を空っぽにするまで開始しないという対策も効果的。
  • 机に鉛筆で書く。これがなかなか立っている先生からは見えない。
    ➔対策:テスト実施直前に手をどけさせ、机の表面を見て回る。
  • 手に書く。全然それ(カンペ)を見ていないように見えるため、恐ろしい。
    ➔対策:手を見る。

以下は実際に私がカンニングの証拠として撮ったものです。

ホントに、この労力を別の……と何度思ったことでしょうか。

カンニング対策

上ではカンニング方法とその対策を”簡単に”紹介しました。ここから少し長くなりますが、試験監督の方法を試験の前と中、後に分けて”具体的に”説明していきます。

試験配布前の留意点

試験を配布する前に禁止事項を伝えます。

禁止事項

T:これは全部だめです。
と言って、以下の5つのことは禁止だと告げておきます。
①友達に答えを教えます
②友達に答えを聞きます
③友達にテストを見せます
④友達のテストを見ます
⑤答えを書きます(これは「答えを手や紙に書いておく」という意味です)

消しゴムが使えるか

鉛筆かシャーペン、消しゴムを持っているかを確認します。ボールペンで書いたら0点になることも告げます。理由も説明してください。昔の先生のように「ダメなものはダメ」などと言って頭ごなしに言ってはいけません。

姿勢

彼らはまっすぐ机に座りません。ただ苦手でまっすぐ座らない人と、後ろの人や横の人に試験を見せるためにまっすぐ座らない人とがいます。

試験を見た人、見せた人はマイナス5点と告げます。

試験中の留意点

目を見る

カンニングを企てる人は決まって教師の動向をチェックしようと教師を見ます。つまり、試験中に何度も目が合う学生はそのような考えの持ち主であることは間違いありません。
目が合うと逸らす人は、教師がずっと見てカンニングさせないようにしましょう。

試験終了直前の留意点

戦いは試験終了から始まります。
音が出るとそこから沈黙が破れ、どんどんうるさくなっていきます。教師の「カンニングしないで/見ないで/話さないでください」という注意すらも彼らにとっては沈黙を破る好機にしかなりません。つまり、教師は注意するための発話もしない方がいいのです。

ではどうすればいいのか。

カンニングをした際のルールを作るのです。
カンニングが多いクラスには、1回カンニングしたら-1点、2回目は-2点、という風に減点されていくと伝えます。つまり、4回カンニングしたら、-1-2-3-4=-10点です。そして下の画像のように「先生はチェックしているからね」「カンニングしても先生は注意しないよ」と言っておきます。

こうすることで学生は「もしかしたら今チェックされているかも」「減点されているかも」と思います。しかも、カンニングしても先生に注意されないので、その確認ができません。

実際に減点するかどうかは先生次第ですが、私はしています。実際に減点しなくても、チェックが入っているというポーズだけでもカンニングの抑制にはなります。

コツとしては、誰かと目が合ったらカンニングしていなくても、メモに名前を書くふりをして、「私はあなたを見ているぞ」という警告を無言で送ることです。

試験後の留意点

一気にざわつく

試験が終わるタイミングが第二の危険ポイントです。試験を回収するざわつきに乗じて、答えを一気に書き写す者もいます。しかし、教師のやることは同じ。ずっとメモを持ったまま、チェックをします。ここでも注意はしません。減点するだけです。

というか、言ってもやめない人はやめません。この「黙って減点方式」が一番効果があります。これで上のような者が「私はカンニングしませんでした」と言ってきたら、次回から録画でも何でもすればいいでしょう。口で言っても彼らは絶対に引きません。証拠がないとダメです。もちろん、盗撮にならないように、テスト前に「録画します」と言ってから証拠を撮りましょう。もちろんカメラはそのカンニングをする者に向けてから始めてください。

枚数の確認

試験用紙を持って帰ってもいい学校、クラスなら別に気にしなくてもいいです。毎回試験を変えているなら問題ありません。しかし、例えば毎学期そのレベルの学生には同じ試験を実施しているようなところでは持って帰られると困ります。
集める順番は

  1. 解答用紙
  2. 問題用紙

です。

日本語能力試験の試験監督をバイトでやる人などは上記のやり方は残念ながらできませんが、内部試験でしたら、十分に役立つ方法なので、試してみてはどうでしょうか。

なぜテストをするのか

理由は4つ。

1つ目は、テストとは学生の能力を知るために先生が行うものです。そして、成績は次のクラスの担当の教師に引き継ぎます。

2つ目は学生に『テストのために』勉強をしてもらう、ということです。ただ「家で勉強して!」と言っても勉強なんかしないでしょう。そこでテストです。テストが悪かったら再テストがある。テストが悪かったらまた同じところを勉強することになる。そういう動機を持たせて勉強をさせるのです(出稼ぎで来ているような子はこれに該当しませんが)。カンニングができる!となればテストのための勉強もしなくなります。

3つ目は学校卒業後にカンニングの習慣をなくさせるためです。日本語学校で更生させておきたい。

そして4つ目は、高得点で自信をつけてもらう、ということです。自信をつけた学生は自発的に勉強するようになります。自分はできる!と思ってもらえます。

海外のカンニング事情

それにしても彼らのカンニングに対する情熱は凄まじい・・・

海外のカンニング対策参考画像

「カンニング 外国」の画像検索結果

海外の先生も大変です。日本でこれだけカンニングするのもうなずけます。インドは超学歴社会なので、親がカンニングを手助けしたりするなど、大問題になっているそうです。

 

反対に、例えば私達日本人が

 テスト中に友達のテストを見ろ!友達と話せ!

と言われたら、恥ずかしくてできないでしょう。人の答えを見るなんて『恥』、そう考える人が多いと思います。

ある学生が言いました。カンニングをするのは、『友達を思っての事だ』『わからなくて困っている友達を見て助けないなんておかしい!助けるのが普通だ』
実に素晴らしい言い分です。仮にそれを正しいとするのなら、助けない日本人は冷たいということになります。しかし、友達に答えを教えては、上述の通り友達のためになりません。
カンニングについては国によって様々な考え方があるのでしょう。ちなみに私はこれまで様々な対策を講じてきました。見るな!話すな!とはもう言っていません。馬に念仏を唱えているような感じです。

上述の減点方式も一つの手かもしれません。喋る、見る、をしたらすぐに名前を板書し、後日返却時にテストに

 -3

と書いておきます。実際に減点はせず、学生が見るテスト用紙にのみ「フェイク」の点数を書いておくとか。しかし、いくら言ってもやる人はやるし、やらない人はやらないし、イタチごっこです。やらせない事に尽力するのではなく、できない環境を作る事に心血注いだ方がよっぽどよさそうです。例えばですが、

 ①席を離す
 ②人数が多ければ教室を2つ使う
 ③席替え

などでしょうか。席替えは特にカンニングをする人達を一番前の列に座らせれば横を見ても、話しても、点数は得られません。カンニングして得られるのは間違いだけです。さらに、カンニングしたかどうかわかりにくい時がありますが、こうすれば後ろを見る事でしか点が得られないので、やったら即退場にできます。

もうホント面倒なんで、来日時の誓約書に一つ追加してほしい。
私はテスト時、カンニング、またはそれに準ずる行為を行った際には帰国します
と。

カンニングをさせない環境づくりについては以下の記事でも詳しく述べています。

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